国際バカロレアIBでCGKのイベントはどう変わるか
IBを取り入れたことでCGKで変わりつつあることのひとつに、イベントの組み立て方や構成があります。私たちは、保護者の方々と知り合うだけでなく、コミュニティを築く方法として、ファミリーイベントを楽しみにしています。これまでのイベントの小さな変更からまったく新しいイベントまで、これらの変更がCGKに関係する皆様にとってプラスになることを願っています。
私たちのプリスクールでは、保護者同士や先生と会う新年度の最初の機会として、パークデー(Park Day)のイベントを長期にわたって楽しんできました。私達の初等部では、昨年初めて春のピクニック(Spring Picnic)を開催し、新年度の素晴らしいスタートになりました。IBによってこの行事が変わる一つの方法は、生徒たちにイベントのデザイン設計をしてもらうことです。
例えば、初等部では生徒たちにどのイベントをやりたいか選んでもらいました。そしてそのイベントを保護者へ説明してもらいました。過去よりもうまくいったイベントもあればそうでないものもありますが、生徒も先生もそういった成功例や課題から学んでいます。来年の春のピクニック(Spring Picnic)はまた違ったものになるでしょう。
私たちスタッフとしては、イベントの運営を計画し、安全を確認します。しかし私たちは、生徒たちにこのイベントの主導権(オーナーシップ)を与えること、そしてそれが、今後の生徒たちの学習のアプローチに自信を与えることを楽しみました。
IBによって変化がもたらされた他のイベントの例として、運動会があります。今までも生徒のリードに従って競技を選ぶようにしてきましたが、今年のプリスクールでは、子供たちの様子ややりたいことをよく知り、時間をかけて競技を選びました。また、保護者の方々にどのようなスキルを披露したいかを、私たち自身と生徒たちに問いかけました。体育の授業ではゲーム作りに力を入れていましたが、体操の単元はまだ始めていませんでした。そのため、5歳児クラスでは体操のデモンストレーションを行うのが一般的ですが、私たちは、生徒たちが得意で自信のあることを尊重したいと考えました。つまり、パークデーのイベントのように、毎年変わるということです。また、生徒たちがあまり待たされないようなイベントを探したいと考えました。このような変更により、いくつかの種目は見た目が変わったり、実施されなかったりすることになりますが、運動会が生徒、家族、先生にとって楽しく、実りあるものであり続けることを願っています!
ハロウィンとクリスマスのイベントも、今後変更される予定です。私たちは、子供たちの喜びとワクワクを掻き立てるこれらの体験をやめたいわけではありませんが、生徒の自主性と探究心を尊重するだけでなく、国際的なコミュニティにも配慮したいと考えています。ハロウィン・イベントはHarvest Festival(収穫祭)となります。トリック・オア・トリートも行いますし、生徒が仮装することもできます。また、世界各国の伝統や風習、特に生徒や先生が出身の国の伝統や風習を探究します。クリスマス・イベントはウィンター・パーティーです。ハロウィンと同様、クリスマスに関連するものを無くすのではなく、冬のホリデーシーズンに行われる他の祝日やお祭りを祝うことができるよう、イベントをより開かれたものにします。サンタやプレゼントは引き続き用意しますが、ご家族やスタッフによっては、ハヌカ、パンチャ・ガナパティ、ユール、ヤルダなど、他の祝日もお祝いするかもしれません。
私たちが積極的に取り組んでいるもうひとつの変化は、発表会(Spring Recital)からセレブレーション・オブ・ラーニング(Celebration of Learning)への移行です。生徒の主体性の一環として、先生が台本を書いて、生徒がそれを暗記するというやり方から脱却しようとしています。その代わりに、子供たちがCGKのコミュニティー(保護者の方等)の前で自分たちの学習と成長を祝う方法を子供たちと一緒に考えています。
生徒たちがステージに立ち、英語でのコミュニケーションスキルを駆使する様子が見れるのは変わりません。ですが、その形態や、学習ではなく練習に費やす時間というのは変化しています。私たちのイベントは、学習や能力開発をサポートするものであって、イベントへ取り組む時間は、学習や能力開発に取って代わるものではありません。ですから、私たちは常に生徒たちと協力し、セレブレーション・オブ・ラーニングが生徒たちの学習を奪うのではなく、その延長線上にあるような方法を模索していきます。
また、生徒たちが年齢を重ね、主体性を持つようになると、形式はさらに変化し、日本での年度末の発表会では一般的でない要素が含まれるようになるかもしれません。これは自然で歓迎すべき変化であり、生徒たちに力を与え、関係者全員にとって楽しい機会になることを願っています。
今年初めて実施した新しいイベントのひとつに、生徒主導面談(SLC)があります。SLCは、生徒自身が自分の学習を家族と分かち合う機会です。これは、生徒が自分自身の学習や教室での頑張りについて、より高い認識を持つための一環です。また、スクールでのことについて、生徒と保護者の間のコミュニケーションを強化する方法でもあります。SLCはIBスクールに限らず、世界中の学校でますます一般的になってきています。しかし、SLCは学習者を称えるだけでなく、彼らの主体性を尊重する素晴らしい機会であるため、このイベントを採用することにわくわくしています。保護者のなかには、先生と話したかったり、もっと体系化してほしかったりした人もいたでしょう。また、どのクラスも事前に何をすべきか練習していたにもかかわらず、多くの生徒が恥ずかしがって、何をしたらよいかわからなくなってしまったことも知っています。各クラスは、先生によるいくらかの誘導とともに、生徒の希望に沿って行われました。このため、他のイベントと同様、SLCも毎年違ったものになります。関係する人全員にとって初めての経験であったと思いますが、生徒たちがより自信をつけ、このイベントに慣れていけるよう、今後も協力していきたいと思います。
イベントの変更の中には、最初は不満に感じたり、理解しにくいものがあるかもしれないことを私達は理解しています。また、初回はうまくいかなくても、改善していくものもあるでしょう。IBのアプローチに沿ったイベントを行うための変更が、生徒の学習を促し、すべての人にとってイベントがより楽しいものになることを願っています!
著者プロフィール
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Darby - 初中等部・スクール長 & IB PYPコーディネーター (アメリカ)
CGKインターナショナルスクール初等部・スクール長 兼 IB PYPコーディネーター。アメリカ・ニューヨーク出身。
自身も国際バカロレアIB DPの卒業生であり、30年以上にわたって、子どもたちへの教育とIB教育へ情熱を注ぐ。教育学修士号を取得。