プライド月間特別授業(Mr. Jun)
6月は「プライド月間(Pride Month)」ということで、トランスジェンダーで以前は保育士、現在は画家をしているJunさんにお越しいただき、ジェンダーを考える特別レッスンをしていただきました。
今年は初等部1年生、2・3年生、4・5年生、プリスクール5歳児の4つのグループにわけて、それぞれレッスンをしていただきましたが、それぞれの年代ごとにジェンダーのとらえ方、また興味や理解も様々でした。
初等部1年生
Junさんから「LGBTQ+の人はどれくらいいると思う?」の質問に子どもたちは、とても多くの人数を予想していました。これはJunさんにとっては驚く数字だったようです。Junさんは他の学校や施設でも講演をされていますが、そこではとても少ない数を予想することが多く、CGKの生徒が他の学校とは多様性の理解が違っていると感じたそうです。
質問タイムでは、性別を変えることに興味を持った質問が多く出ました。
- 身体が女の子で、心が女の子で、どのように顔を変えたの?
→顔は変えられないので眼鏡で印象を変えた。 - 男の子から女の子に変わるにはどうやって変わるの?
→ホルモン注射で筋肉を柔らかくなったり、肩が下がってくる。注射は月に1回打つ(子供たちから「すごい打つじゃん!」と驚きの声が)。
初等部2・3年生
「Junさんみたいな人がいたら友だちになる?」という質問に初等部の2・3年生は、「不思議な子(いろいろな子)でも逆に楽しそう」「男の子も女の子もどっちにもいいところはある。どちらも同じ人間だから」「自分がされて嫌なことは相手にもしない。相手の気持ちを考えることが大事」などの意見が出ました。性別を気にする必要はない、自分の好きに生きればいいなど、すでに多様性を受け入れる姿勢を持っており、それが普通だと考えている子が多く、なぜ差別や仲間外れが起きてしまうのか、そのことの方が不思議に感じている様子でした。
初等部4・5年生
初等部4・5年生は多様性についてさらに理解が深まっており、多様性を認めるだけではなく、自分たちには何ができるのかなどのアイデアが出ていました。「LGBTQ+の権利が守られているブラジルに行くのはどうだろうか」「みんなで偉い人にブラジルと同じようなルールになるように頼んでみてはどうか」「政治家になって社会を変えてみてはどうか」など、子供たちの優しさと知識を合わせて様々な意見を出してくれました。
プリスクール5歳児
CGKのプリスクールではトイレを「男の子用・女の子用」と分けることなく、「Standing Toilet(立つトイレ)・Sitting Toilet(座るトイレ)」と呼んでいること、制服をスカートでもショートパンツでもどちらも選べるようになっていること、男性の先生の中には髪を結んでいる先生もいることから、子供たちはあまり「男の子/女の子はこうあるべき」という意識がないようでした。最後にはJunさんと一緒に絵しりとりを行ったことで、「Junさんは楽しくて、絵が上手な人」という性別が関係ないイメージが残ったようです。
Junさんには毎年、CGKの生徒たちと対話をして下さっています。その中で、1年経つごとに子供たちの理解と疑問が変わってきていることにも気づいてくださっており、学年ごとに話の内容や話し方も変えてくださっています。
今回Junさんより、「CGKに行くたびにLGBTQ+という言葉が必要ないのかもしれないと感じる」というお言葉をいただきました。
それはCGKで日頃より、自然と多様性を受け入れられる環境作りを行うことができている、または自然と差別や偏見を持つことのない心を作る環境ができているからかもしれません。
すぐに社会全体の考え方を変えるのは難しいかもしれませんが、このような経験をすることで、子供たちが改めて自分や人について考えるきっかけになり、それが心の成長に繋がり、さらには社会にも繋がっていくと考えています。
著者プロフィール
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Reiko - プリスクール・副スクール長 (日本)
CGKインターナショナルスクール2016年開校時からのオープニングメンバーであり、現プリスクール・副スクール長。保育士。
認可保育園での勤務後、ビクトリア(カナダ)へ海外留学。帰国後は、インターナショナル・プリスクールにて主任の経験も。大のディズニー好き。