プリスクールの選び方やポイント・比較基準について
最近、以前にも増して、幼児英語教育が注目されるようになっており、メディアでの特集も多くなりました。
習い事として英語をしたり、放課後の学童保育として英語を学ばせる親が多い中、最近では1歳半や2歳からの幼児英語教育として、「プリスクール」という選択肢を取る方が増えてきています。
今回は、このプリスクールについての基本情報と、選び方やポイントについても見ていきましょう。
プリスクールとは
詳細は上記の記事を参考にして頂ければと思いますが、日本におけるプリスクールは英語で保育・教育を行う保育園や幼稚園のことを言います。
制度上では「認可外保育所」として自治体へ登録しているところが多いですので、厳密には「保育所」となります。
※本記事では、便宜上「保育園」と言います。
ではまず、日本におけるプリスクールおよび幼児英語教育を取り巻く現状はどうなっているのでしょうか。
プリスクール業界の現状
全国のプリスクール数の推移
少し前のデータとはなりますが、こちらが全国のプリスクール数の推移です。
ご覧の様に、調査を開始した2002年度の18校より、毎年約30校もしくはそれ以上増加し、2010年度にはすでに312校となっています。
次に紹介するデータからも分かるように、プリスクール市場は拡大し続けていますから、プリスクールの数も常に増加し続け、現在はさらに多くのプリスクールがあると考えられます。
プリスクール市場の成長
「語学ビジネス市場に関する調査結果 2015」(矢野経済研究所)と「語学ビジネス市場に関する調査結果 2022」(矢野経済研究所)のデータによると、プリスクール市場の売上高は、2013年度は298億円ですが、2021年度は400億円です。
少子化問題で、子供の数は減少し続けているにも関わらず、これだけの成長があるのは、やはり幼児英語教育への意識の高まりが主な理由でしょう。
認可外保育園が基本のため、保育料は比較的高額にはなりますが、それでもこれだけの成長を毎年続けています。
どのような英語教育が行われているのか
プリスクールでの英語教育は、通常の保育園や幼稚園での英語教育とは異なります。通常の保育園や幼稚園では、外国人の特別英語講師が園を訪問し、「月に数回、英語に慣れ親しむために少し教える」という形ですが、プリスクールは全て(ほぼ全て)の保育や教育の機能を基本、英語を通して行います。
多くのプリスクールで取り入れている手法が、いわゆるイマージョン英語教育であり、園での生活の全て、もしくは大部分を英語のみで過ごします。
幼児はスポンジの様にすぐに吸収してしまいますので、外国人ネイティブ講師による英語のシャワーを浴びるだけでも英語力向上が見込まれますが、ここで注意が必要なのが、ただ単に英語で話しかけるということだけ行い、「カリキュラム」も無く無計画に英語教育を行っているプリスクールではないか、という点です。
英語教育を重視されている方、もしくはプリスクールを検討しているのでせっかくならしっかりとした英語力を身につけてほしい、と考えている方は、以下の点を意識してプリスクール選びをされると良いです。
プリスクール選びのポイント ~英語教育バージョン~
プリスクール選びの際に、幼児英語教育についてどう考えるか、という点がまずあります。
しっかりとしたカリキュラムを基に教育が行われているかどうか、その比較や判断する材料として、以下のようなことが挙げられますので、参考にしてください。
※あくまで、英語教育を重視する場合の基準となりますので、ご承知下さい。
週2,3日等のコースを用意しているかどうか → 用意して「いない」方が良い
これは、各家庭事情もあり、週2,3日のコースを希望される方も多くいらっしゃいますが、もし英語保育や英語教育の質を重視される場合は、月曜日から金曜日の週5日で統一するのが良いです。
もし、週2日受講と5日受講のコースが混在する場合、色々な英語レベルの園児が同じレッスンを受けることになり、毎日園児の顔ぶれが変わり、また、色々なイベントにみんなで参加することも難しくなります。いくら個々人のレベルや特徴に合わせて行うといっても、学習した内容や英語力の差が大きいと、カリキュラムはかなり汎用的なものしか立てられず、効果のあるプログラムを行うことは難易度が高いですし、レッスンのクオリティ自体を下げなければいけない、という問題が起こります。
教育だけでなく保育の観点からも、子供の成長を見守る時間が増えれば、行える保育指導は多岐に渡ります。
14時頃までの時短コースがあるかどうか → 無い方が良い
先ほどの週2,3日コースの件と同様ですが、時短コースを用意することで犠牲となる部分はどうしても出てきてしまいますので、毎日の外遊び時間の確保や、お昼寝の習慣付け、体育指導など、フルタイム(例:17時まで)であれば力を入れて行えることが非常に多くあります。
セミリンガル(ダブルリミテッド)対策を行っているか → 様々な意見あり
例えば、園生活を全て英語のみで行うと、母国語である日本語の能力が疎かになり、結果的に、論理的に物事を思考するためのベースとなる言語が存在しなくなってしまう恐れがあります。
バイリンガルになり切れず、両方の言語において中途半端な状態を「セミリンガル(ダブルリミテッド)」といい、英語のみで保育・教育を行うプリスクールやインターナショナルスクールでの一つの不安材料となっています。
これに関しては諸説があり、実際のところは、家庭でしっかりと日本語でコミュニケーションを取っていれば「問題ない」という意見が多いです。
一方で、日本語教育も行っているプリスクールもあり(CGKインターナショナルスクールもそうです)、理由としては以下のようなものがあります。
まとめ
週2,3日等のコースや、時短コースを用意しているプリスクールは非常に多く、逆に、週5日間(月曜日から金曜日)でフルタイム(朝から夕方)まで預かるプリスクールは、CGKインターナショナルスクールのある横浜市中区だけに限らず、日本全体においても、まだまだ少ない状況です。
今後、プリスクール業界、幼児英語教育業界はさらに変化し、利用者も専業主婦(夫)家庭から、共働き家庭まで、多様な方々に利用されることでしょう。その多様なニーズに応えられるよう、その受け皿になるためには、さらに多くの、そしてさらに多様なシステムをもったプリスクールが増えていくか、これからに注目していきたいと思います。
著者プロフィール
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甲斐実 - CGKインターナショナルスクール理事長 (日本)
1984年生まれ。二児の父。
オーストラリア・カナダ・アメリカでの居住・滞在の後、広告代理店にて海外展示会業務と国内広告業務の兼務。
CGKインターナショナルスクール(横浜)においては、理事長としてゼロから起ち上げ、インターナショナルスクール経営コンサルも行う。