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国際バカロレアIB PYPのUOI授業紹介(5歳児)Vol.2 - CGKインターナショナルスクール・プリスクール

コラム 2024.01.07

前回、国際バカロレア(IB)の探究の単元(UOI)である、“Where We are in Place and Time (私たちはどのような時代と場所にいるのか)”を終えたSkyクラス(5歳・年長児クラス)。『自分はどのようなコミュニティに属しているのか』『各々には役割があること』『役割に責任を持って取り組むことで誰かの役に立っていること』を様々な活動を通じて学びました。これらの経験を踏まえ、子どもたちは次の探究の単元(UOI)で更に学びを深めていきます。


前回のUOI

さて、チームワークを育んだSkyの子どもたちが取り組む次なる探究の単元(UOI)は、

”How the World Works (世界はどのような仕組みになっているのか)”

です。このユニットを通じて子どもたちに体感してもらいたいテーマである中心的アイデア(Central Idea)は、

”We use the scientific process to understand our world (私たちは科学的な方法を用いて世の中を理解している)”という概念です。


この中心的アイデア(Central Idea)だけを見ると難しい印象を抱く方も多くいらっしゃるかと思います。しかしSkyの先生たちはこのユニットを通じて、ただ子どもたちに実験の楽しさを伝えたり、世界はどのように成り立っているのかを教えたいのではありません。私たちは探究の単元(UOI)や中心的アイデア(Central Idea)を初めに設定する際、『このユニットを終えた時に子どもたちにどのようなスキルを習得してほしいか』という将来像を意識しながらプランニングを行っています。ただしこのプランニングというのも、活動内容を先生たちが初めから全て決めた上で子どもたちがそのレールの上を歩いていくものとは全く違います。この探究の単元(UOI)の中でも子どもたちが何に興味を示しているかの反応を見ながら、日々フレキシブルに活動内容を子どもたちと一緒に作り上げていきます。これこそが国際バカロレアIBカリキュラムの醍醐味です。



このテーマを選んだ背景 (子どもたちにどのようなスキルを習得してほしいか)

  • 子どもたちが疑問に感じたことは「まぁいいや」とそのままにするのではなく、何事にもとことん追究をする。
  • 疑問を解決するためには様々な方法があるということを学ぶ。
  • 前回の探究の単元(UOI)で習得したインタビュースキルを駆使し、様々な人と関わり合うことで知識の幅を広げる。
  • 疑問を解決するプロセスのなかで更に新しい疑問が生じる。その経験から、世の中には知らないことがまだたくさんあるということを感じる。
  • 自分の力で疑問を解決をすることが、こんなにも楽しいんだということを実感する。

以下 ”We use the scientific process to understand our world (私たちは科学的な方法を用いて世の中を理解している)”の中心的アイデア(Central Idea)に沿って、約4ヶ月にわたり、英語・日本語それぞれの時間における活動の取り組みや、それにより子どもたちが習得していったスキルなどをご紹介します。



エジソンは電球はかせ!

ある日のSkyクラスの出来事です。自由時間に子どもたちが折り紙や画用紙をたくさん使っている姿を見かけました。しっかりとした目的があって折り紙や画用紙を使用していれば良いのですが、お絵描きをするなら、みんなが所有している自由帳を使用することを勧めようと思いました。そしてその後の日本語の時間で、『SDGs』の概念や『私たちにできること』をみんなで考えていきました。その中で、「紙だけじゃなくて、電気もそうなの?いつも公園に行くときに先生たちが電気を消しているのはSDGsなの?」と質問をしてくれるお友だちがいました。そこからSkyのみんなの興味が電気に向きました

「電気ってずっと付けてたらどのくらいで消えちゃうのかな?」
「1週間くらいじゃない?それとも1年くらいかな?でも誰かが電気を替えてるのを見たことない」
「きっとお休みの日に先生が変えてるんだよ」
「そもそも電気ってどうやってついてるのかな」
「だれが一番最初につくったんだろう」

微笑ましい会話を見守っているうちに、もともとSDGsについて話していたはずが、いつの間にか子どもたちの会話の中で『電気はどのように作用しているのか』『誰が発明したのか』といった疑問に自然と繋がっていました。

そこで子どもたちと一緒に調べていくと、あの有名なエジソンの名前が出てきました。「あ!名前聞いたことある!」「エジソンが電球を作ってくれたから今は電気があるんだね」「けど最初は誰も何も分からなかったのにどうやってエジソンは電球を作れたんだろう」と子どもたちは興味津々の様子でした。

そこでエジソンの伝記を読んだところ、実はエジソンが電球を完成させるまでに何百回も何千回も失敗をしていたことを知りました。そこから子どもたちは、「失敗をしても諦めないことが大切ってことをエジソンは伝えたいのかな」「実験をたくさんして、失敗って知れたことがいいってこと?」「じゃあエジソンは電球のことをいっぱい知ってるから、電球はかせだ!」と思い思いに感想を伝えあっていました。ここでSkyクラスの中で『〇〇はかせ』というみんなが作り出した言葉が初めて生まれました。

「わたしはポケモンのこと詳しいから、ポケモンはかせ!」
「ぼくは虫が大好きだから、昆虫はかせ!」
「わたしは本が好きだけど色んな歌も歌えるから、何のはかせになろうかな・・・」

「紙の無駄遣いは勿体ない」という話から、自然と子どもたちにより今回の探究の単元(UOI)に沿った会話が始まっていたのでした。


国際バカロレアIB PYPのUOI授業紹介(5歳児)



はかせはどうやって分からないことを調べるの?

先日、エジソンは電球を発明するまでに数え切れないほどの失敗をしたことを知ったSkyさんたち。子どもたちは「自分も何かのはかせになりたい!」と興味が向いているようだったので、『はかせたちは分からないことをどのように調べているのか』というテーマのもと、実験や調査をするのに必要なスキルを楽しく学ぶ活動を行いました。

■長さ

子どもたちが普段遊びの中で馴染みのある小さなブロックをつなげ、教室内にある自分の選んだおもちゃの長さを"何個分"かで、はかりました。「思っていたよりも長い/短い」など、遊び感覚で長さの計測を経験しました。


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■重さ

天秤を使い2つのおもちゃの重さを比べて絵に描いて記録しました。早く終わった子は比べたものの中で一番重いもの、一番軽いものも調べました。また天秤を使った別のゲームでは、5gや20gの錘を使い、同じ重さのおもちゃを探す活動を楽しみました。


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■五感

いつも何気なく使っている五感を意識するため、はかせが実験をする際に使う感覚『視覚/聴覚/触覚/味覚/嗅覚』はなぜ必要なのかという点を話し合いました。話をする中で、子どもたちは鼻の穴を広げてみたり耳を動かしてみたりと、普段あまり意識して動かさない部分にも着目をしていました。中でも子どもたちが興味を抱いたのは『味覚』で、「甘いとか酸っぱいは食べ物が違うから感じることなの?それとも口の中で感じることなの?」とあるお友だちから質問がありました。とても良い質問だったので、みんなで確かめることにしました


国際バカロレアIB PYPのUOI授業紹介(5歳児)


■フルーツの試食実験

子どもたちの興味により試食実験をするため、スーパーマーケットへと買い物に出かけました。実験をしてみたいフルーツや野菜を購入したSkyさんは、口の中の様々な場所で味を意識しながら食べてみます。すると、「あ!食べ物をべろの上に乗せると味が強くなる・・・気がする・・・?」と気が付いたお友だちがいました。舌の役割について、子どもたち自身の探究心から新たな発見に繋がった瞬間でした。


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■実験予想をたてる

ある日、私からSkyのみんなに質問をしてみました。
「水を少し入れたペットボトルに、アルコール除菌液を入れるとどうなると思う?」
こう聞いてみると、想像力豊かなSkyのお友だちからは様々なアイデアが出てきました。

「水が炭酸になるんじゃない?」
「雲ができるのかも・・・」
「水の色が変わるのかな?」


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一人ひとり実験予想を絵で表現をした後には答え合わせです。

結果は・・・水が少しシュワシュワして中に雲ができていました。実験予想が的中して喜んでいるお友だちがいれば、外れて悔しそうなお友だちも。


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しかし実験は結果が正解/不正解なのが大事なのではなく、「失敗を恐れずに想像力を膨らませて、色々なアイデアを持つこと」が大事だというお話をしています。
すると子どもたちから「あ!エジソンと同じだ!電球が出来上がるまでにエジソンがたくさん失敗したから、いま自由に電気が使えるまでに進化したんだよね!」と以前何気なくした歴史の話にも繋がり、『結果よりもプロセスが大切』という概念を子どもたちなりに解釈をしている様子でした。
このペットボトルの実験だけでなく、『10円玉の上には何滴の水を溜めることが出来るか』『自分が選んだおもちゃは水に浮くか浮かないか』『材料を合わせたらどうなるか』など他にも色々な実験を経験しました。その中で予想をたてることの難しさと同時に、未知のことを知るワクワク感を味わったSkyさんでした。


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みんなは何はかせになる?

はかせになるための準備を行ってきたSkyさんたち。今度はみんなが疑問に思ったことを実験や調査をする番です!
しかしここで、どのようにしたらSkyの子どもたち一人ひとりが興味に沿った研究が出来るのかをSkyの先生たちは悩みました。私たちは、テーマを一括りにして子どもたち全員に「さぁ、この疑問を解決してみましょう!」と問いかけるやり方は教育者として適切ではないと考えていました。それでは子どもたち一人ひとりの好奇心・探究心の芽を潰してしまうことになります。
先の文章でもお伝えをしている通り、私たちはこの探究の単元(UOI)を通じて実験をしたり科学の楽しさを子どもたちに伝えたいのではありません。実験や調査は、疑問を解決するためのツールです。子どもたちの中で疑問が生じた時、ただ答えを座って待ち、疑問をそのままにするのではなく、自分の力で物事を理解しようとする『問題解決能力』を養ってもらいたいのです。そのため、先生がテーマを設定するのではなく、子どもたち自身により興味のある疑問を考えてもらう必要がありました。

そこで、まずはSkyさん一人ひとりがどのような分野に興味を持っているのかを探るため、子どもたちに絵かるたを渡し、そこに描かれている絵が『生き物』か『生き物でない』かを振り分ける活動を行ってもらいました。
グループごとのアクティビティでしたが、ここでは一人が独断で決めることなく、子どもたち自らがチームメイトと「これ生き物だよね?/これは生き物じゃないよね?」と相談をしながら意欲的に活動に参加をしている姿が見られました。


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そして次のステップでは、生き物にはどのような共通の特徴があり、なぜその判断に至ったのかをチームごとに話し合います。

<生き物は>

  • 生きるために食べる
  • 口から音を出す
  • 住むところがある
  • 脳みそがある
  • 子どもを産む
  • 足がある

これらは子どもたちから出た意見のほんの一部にしか過ぎず、溢れ出るほどの意見をたくさん聞くことができました。中でも印象的だったのは「卵と木は生き物なのか?」という議題でした。

「木は成長するしお水や太陽を欲しがるから生き物だよ!」
「たしかにね、だけど木は歩かないし脳みそないよ」
「でも蛇は足はないけど生き物だよね?」

Skyさんにとってこの議論は、答えが分かるようで分からない、なぞなぞのようなもので楽しかったようです。チームごとに考え方は違いましたが、自分の思ったことをきちんと主張する子がおり、一方でその意見を真っ向から否定せずに他のお友だちの価値観も認めるSkyのみんなの様子を見た時、とてもインターナショナルらしい素敵な雰囲気だなと感じました。

そしてこの、『生き物』『生き物でない』を考えた日から、Skyさんから様々な疑問が出てくるようになりました。今思えば子どもたちがこれまでに疑問を感じた瞬間はあっても、それを誰かに伝えたり議論をする場があまりなかったようです。この時からSkyさんの中で何か疑問を感じた時、「先生、『なんでのお話』思いついちゃった!」と思いついたことを毎日のように伝えてくれるようになりました


国際バカロレアIB PYPのUOI授業紹介(5歳児)



Skyさんのはかせの木

「なんでネコザメは触り心地が砂みたいなの?」
「なんで馬は体が重いのに走ると速いの?」
「なんで太陽と雨があると虹ができるの?」
「なんで昔は着物を着ていたのに今は洋服を着るようになったの?」
「なんで日本とアメリカでは車のハンドルの位置が違うの?」

自分たちが今までに観察や経験をしてきたことを通じて、Skyさんからはたくさんの『なんでのお話』が溢れ出ていました。ここで一人ひとりの興味や疑問を知ることができましたが、大人でもきちんと調べないと分からないことだらけです。

余談ですが、「先生なのになんで答えが分からないの?」と純粋に子どもたちに聞かれたことがあります。その時は「先生はSkyさんたちみんなのことは詳しいよ。だから先生はSkyさん博士なんだ。だけどみんなの『なんでのお話』は先生でも分からないことだらけ。だから今度はみんなが博士になって、調べたことを先生に教えてくれる?」と伝えると、「あ、そっか。」とあっさり納得をしてくれました。

さて、そんな子どもたちとの何気ない会話の中から素敵なアイデアが生まれました。あるSkyの男の子の疑問は「なんで日本には季節が4つあるの?」といったものだったのですが、そこからSkyクラスでは戸外遊びに出かけた際に木の形や葉の色に着目をするようになりました。

「今の季節は夏だから木には緑色の元気な葉っぱがついているね」
「葉っぱだけじゃなくて花がついてる木もあるよ」
「緑の葉っぱが花に成長するのかな」
「これも新しい『なんでのお話』だ!」

この子どもたちの会話から、新たなアイデアを思いつきました。早速教室に戻ったあとに子どもたちに伝えてみます。
「今日公園で木と葉っぱとお花のお話をしたでしょ?先生思いついちゃったんだけど、みんなでSkyのお部屋に大きな木を作るのはどうかな?みんなが思いついた『なんでのお話』を葉っぱに書いて木に貼るの。もしみんなが『なんで』を解決して博士になることが出来たら、お花を付ける。どうかな?」

もちろんこのアイデアを伝え、子どもたちの反応に手ごたえがあまりなければこの案を無理やり突き通すつもりは全くありませんでした。しかし思いのほか子どもたちは大賛成。「いいね!はかせになってお花を咲かせたい!」とSkyさんは早速活き活きと大きな木の幹を描き始めました。そしてSkyさんたちはこの木のことを、『Skyさんのはかせの木』と名付けたのでした。

初めは大きな木の幹と枝しかなかった『Skyさんのはかせの木』。そんな寂しかった木には、みるみるうちに『なんでの葉』がついていきました。


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しかしここで新たな壁にぶつかります。それは、葉っぱだけがたくさん増えていく一方で、『はかせの木』にお花がなかなか咲かないのです。

そこで子どもたちに「どうやったら『はかせの木』にお花が咲くと思う?」と聞いてみると、

「ネオ図鑑をみたりYouTubeで知る!」
「大人に聞いてみる」
「ニュースを見てみる」

とこのように様々な意見も出ましたが、子どもたちの中ではなかなかピンときていない様子でした。

その中で一人、「わたしはイルカについての『なんで』だから、水族館に行ってお話を聞けばはかせになれるかも」と言った女の子がいました。
そこでみんなの顔がパッと明るくなります。「わたしの『なんで』は動物のことだから動物園に行きたい!」「僕の『なんで』を解決するにはどこに行ったら分かるんだろう?」

こうして、Skyさんたちの好奇心・探究心により、遠足という名の『課外研究』へと出かけることが決まったのでした。



いざ!課外研究へ!

子どもたちの興味により、科学館、水族館、動物園での課外研究プロジェクトに取り組むことが決定したSkyクラス。Skyのお友だちは、ただ遠足を楽しむのではなく研究の一環として出かけることを誰よりも理解している様子でした。

初めに出かけた科学館(東芝未来科学館)では、液体窒素ショーで花びらがパラパラと砕ける様子を見たり、静電気で自分の髪の毛が逆立っていくことなどを体感する中で、また新たな質問を思いついているようでした。

ここでは3グループ別々に行動をしたのですが、先生が誘導をすることはありません。前回の探究の単元(UOI)の”Where We Are in Place and Time (私たちはどのような時代と場所にいるのか)”で培ったチームワークを駆使して、子どもたちが計画的に各エリアを周っていきました。


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次に出かけたのは水族館(横浜・八景島シーパラダイス)です。自分たちの『なんで』のテーマである海の生き物を間近で見たことで、「思ったより大きいんだね!」「僕とどっちの方が体が大きいかな?」と『特徴の比較』を自然と行う姿を見ることが出来ました。また、はかせになるために自分から飼育員さんを探して質問をしていたお友だちも!
とても勇気のいることだったとは思いますが、水族館訪問を終えた時には達成感で笑顔いっぱいの様子でした。


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最終研究プロジェクトの場所は動物園(よこはま動物園ズーラシア)です。子どもたちは、普段家族やお友だちと遊びにくる動物園とはまた違った見方で園内を周ることが出来たと思います。

「岩がゴツゴツしているところで生きているから、脚の爪が硬いんじゃないかな」
「ヒョウは体が小さくて軽いから走るのが速いんじゃない?」
このように子どもたちは「楽しいね」「可愛いね」「動いてるね」などと単に感想を言い合うのではなく、はかせらしく『推測』を行う姿を多く目にしました。


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ついにSkyのみんながもの知りはかせに!

いよいよこの探究の単元(UOI) “How the World Works”もまとめに入ります。このユニット(単元)を通じてSkyの子どもたちは『ただ物事を受け入れる』のではなく、『物事に疑問をもつ』『クリティカルシンキングをする』姿勢が自然と身に付いたように感じます。

ここでSkyさんたちは、新たな挑戦に取り組みます。それは自分たちの『なんで』の疑問の答えをお家の人と一緒に考えてもらうといったものです。通常、CGKでは宿題を子どもたちに出すことはありません。子どもたちは普段の生活や遊びを通じて、またご家族との愛情いっぱいの触れ合いの中でたくさんのことを学んでいきます。子どもたちにはそんな素敵な時間をできるだけ長く過ごしてほしい、といった想いから常習的に宿題を出していません。
しかし今回は予めご家族に説明のもと、あえて子どもたちに宿題を出した経緯があります。

<宿題の目的>

  • 子どもたちは自分で『なんで』の疑問を解決したくても、なかなか一人で本や図鑑を読むことが難しい。
  • クラスの活動の中でインターネットなどの媒体を一人ひとりじっくりと使用する時間を持つことができない。
  • 探し出した答えが正しいか間違っているかは重要ではなく、どのようにして疑問を解決したかのプロセスが大切だという概念に重きを置きたい。
  • 子どもたち自身で考えた疑問や発想力がとても素晴らしく、ご家族の方にも是非感じていただきたいと思った。
  • 小学校に進学する前に「学校の宿題ってどんな感じかな?」と感じる良い機会だとも考えた。

国際バカロレアIB PYPのUOI授業紹介(5歳児)


さぁ、ご家族の方と一緒に宿題を終えたSkyさんたち。
「ママと図書館に調べに行ったんだ!」
「インターネットでたくさん調べたよ」
「お休みの日に牧場に行って馬を見てきたんだ!」
と一人ひとりが自信満々に、『なんで』の答えを教えてくれるよりもまず先に、どのような方法で疑問を解決したかを伝えてくれる姿が印象的でした。


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この様子を見て、Skyの先生たちがこの探究の単元(UOI)を通じて子どもたちに学んでもらいたかった『問題解決能力』というスキルが身に付いてきていることを実感し、嬉しく思いました。
もちろんみんなが取り組んだ宿題の答えも、大人顔負けのものでした!

最後にSkyさんたちは、一人ひとり調べてきたことをポスターにまとめていきます。
「なんで」の疑問やその答え、またその特徴の詳細を文字や絵で描き、個性溢れるオリジナルポスターが出来上がりました。


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そして何よりもみんなが意欲的に『なんで』を解決したことにより、最初は木の幹だけで寂しかったSkyさんのはかせの木にお花がたくさん咲きました!この色とりどりのはかせの木を見た時に、子どもたちは達成感いっぱいの自信に溢れた表情を浮かべていました。


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子どもたちは最初、「先生だから、大人だから何でも知っている」と確信を持っていました。しかし子どもたちはこの探究の単元(UOI)を通じて、『疑問は大人になっても生じる』ということを先生たちやご家族の姿を通して学んだのではないでしょうか。ただ受け身で待っているのではなく、興味のあることを調べてみることで知識を習得し、よりキラキラした世界を知ることができます

さぁ、無事にはかせになることが出来たSkyさんたちですが、まだまだスタートに立ったばかり。Skyさんのはかせの木に葉がたくさん付き、お花がだんだんと咲いて色づいていったように、これからもSkyさん一人ひとりの興味や疑問がどんどん膨らんでいきますように。

次回の探究の単元(UOI): “How We Express Ourselves (私たちはどのように自分を表現するのか)”でも子どもたちと一緒に活動内容を作り上げていきます。はかせの次は何になるのでしょうか?次回の記事をお楽しみに!

著者プロフィール

Maya  -  プリスクール・先生  (日本)JAPAN

CGKインターナショナルスクール・プリスクール5歳児クラスの担任教師。
アメリカの大学の日本校でアジア研究学専攻。横浜のインターナショナル・プリスクールで3年間勤務(2歳児~5歳児の担任と主任業務を経験)の経験あり。

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