日常から考えるLGBTQ+|Mr. Junと行うワークショップ「自分を表現する」
「自分を表現する」
その子らしさに
触れる時間

昨年に続き、今年もLGBTQ+の当事者であるトランスジェンダーのMr. Junによるセッションを行いました。
今年は、より多くの保護者の方にこのテーマに興味を持ってもらうきっかけを作りたいという思いから、保護者向けのセッションに加えて、子どもたちを対象としたワークショップも開催しました。
作品づくりを通して出会う
一人ひとりの「その子らしさ」
子どもたちのワークショップのテーマは、「自分を表現する」。今回のワークショップでは、子どもたちの作品づくりを通して、それぞれの「その子らしさ」に触れる時間となりました。


作品に夢中になり、自分の世界をどんどん広げていく子。
周りの子の作品を見ながら、「こんなアイデアもいいな」と、自分の作品に取り入れていく子。
作り進める中で、最初には思いつかなかった新しいアイデアを見つけていく子。
同じアクティビティでも、その取り組み方は一人ひとり違います。
保護者の方にとっても、子どもの作品づくりを手伝ったり、会話をしたりする中で、普段はなかなか気づかなかった子どもの好みや考えに触れる機会になったのではないかと思います。



「もし、わが子の身近で起きたら」
保護者同士で考える
もし、クラスに同性カップルの保護者がいたら?
保護者向けのセッションでは、子どもたちを取り巻く「家族の多様性」についても考えました。
「もし、自分の子どものクラスに同性カップルの保護者がいたら、あなたはどのように声をかけますか?」そんな問いから、参加者同士で意見を出し合いました。中には「実際に子どもたちがその状況を体験したら、子どもはどう感じるのかを聞いてみたい」という意見も。
大人が「こうあるべき」と答えを決めるのではなく、子ども自身が何を感じ、何を考えたのかを聞いてみる。そんな姿勢も大切なのかもしれません。

もし、自分の子どもが「自分の性」に悩んでいたら?
もう一つ、参加者同士で考えていただいたのが、「もし、自分の子どもが“自分の性”について悩んでいたら?」という問いでした。参加者からは、さまざまな声が出ました。
「ありのままでいてほしい。元気でいてくれればいい」
「話してくれたら、『言ってくれてありがとう』と伝えたい」
「家庭では味方になれるけれど、親が助けられない社会の中でも生きていけるように、サポートしてあげたい」
「先生にも味方でいてほしい」
「ありのままでいてほしい」という思いは、多くの参加者に共通していました。その一方で、子どもが社会の中で生きづらさを感じるのではないか、という不安を語る声もありました。
子どもの絶対的な味方である保護者であっても、家庭の外にある社会のすべてを変えることはできません。だからこそ、社会全体が正しい知識を身につけ、誰もが安心して暮らせる環境をつくっていくことが必要なのだと思います。
家族が「安心できる場所」であるために
Mr. Junからは、こんな話もありました。
「家族がいる家は、安心できる場所であってほしい。でも、家族が理解していなければ、そこは安心できる場所にはならない。」
Mr. Jun / 今回のセッションより
子どもにとって、家族は身近で大切な存在です。だからこそ、自分のことを話したときに否定されない、どんな自分でも受け止めてもらえるという感覚は、大きな安心につながります。
また、子どもが自分の性について話してくれたとき、そのことを深く掘り下げすぎないことも大切、という話がありました。
まだ自分の中に確かな軸がない子どもにとって、カミングアウトしたことについて大人から深く聞かれ続けると、「自分はちゃんと考えなければいけないんだ」と受け止め、かえって考えすぎてしまうこともあるかもしれません。だからこそ、ときには構えすぎずに受け止めることも大切。
「そうなんだね」と聞く。「言ってくれてありがとう」と伝える。必要なときには一緒に考える。すぐに答えを出そうとしなくてもいいのかもしれません。
言葉の先にいる「一人の人」を見る
今回の対話では、「LGBTQ+」や「クィア」という言葉についても話しました。
言葉があることで、自分の経験を理解したり、同じような経験を持つ人とつながったりすることができる一方で、言葉によってカテゴリーが生まれ、「自分はどこに当てはまるのだろう」と考えることにつながる場合もあります。
Mr. Junからは、「LGBTQ+という言葉がなくなればいい」という言葉もありました。
これは、言葉そのものを否定するというよりも、人のあり方を特別な言葉で区別しなくても、一人ひとりがそのまま受け入れられる社会になればいい、という思いなのではないでしょうか。大切なのは、言葉を知っていることだけではなく、その言葉の先にいる「一人の人」を見ること。
子どもが何を好きなのか。何を大切にしているのか。何に悩んでいるのか。そして、どんな自分でいたいと思っているのか。
今回のワークショップと保護者向けセッションは、そんな一人ひとりの違いについて、子どもと大人が一緒に考える時間となりました。
「その子らしくいてほしい」
その思いを、日々の会話から
「その子らしくいてほしい」と思うなら、まずは、その子が安心して話せる場所をつくること。特別なことをするのではなく、日々の何気ない会話の中で、「あなたの味方だよ」と伝え続けること。その積み重ねが、子どもにとっての安心につながっていくのかもしれません。