プリスクールとは?インターナショナルスクールとの違い
幼児英語教育市場は堅調に成長し続けている市場です。少子化という流れはあるものの、今後、日本が世界で生き抜くための重要な役割を果たしていくと考えられるため、今後も伸び続ける市場だということが予想されます。
さて、未就学児の段階から始める幼児英語教育には、習い事以外に、プリスクールやインターナショナルスクールなど、色々なものがあります。
しかし、その分類や呼び方に関しては、混同されているケースもあるため、1つずつ違いを見ていきたいと思います。
プリスクールとは
プリスクールという言葉は、最近でこそよく聞かれるようになってきたのですが、お子さまのいらっしゃらない方や教育関係者以外の方には、まだまだ馴染みの薄い言葉です。
プリスクールは、英語の"preschool"のことです。「幼稚園」や「保育園」を指す言葉ですが、英英辞典で調べてみると、
preschool
a school for children between the ages of about two and five
Oxford Advanced Learner's Dictionary
とあり、およそ2歳頃から5歳までの学校のこと(ちなみに、Wikipediaでは3歳から5歳と書いてあります)です。要するに、ただの一般的な保育園や幼稚園を指すわけですが、これが国や地域によってさらに細かい違いがあります。
アメリカでのプリスクール
アメリカでは、ほとんどの州において、小学校の前の5歳児(5歳から6歳)の1年間が"Kindergarten"です。
その前が、"Pre-kinder"や"Preschool"ですが、Pre-kinderが4歳児、Preschoolが2~4歳児となります。
下表が分かりやすいです("Nursery Schools"とありますが、Nursery Schoolは0~4歳児なので、Preschoolはここに含まれます)
日本でのプリスクール
一方、日本で「プリスクール」というと、主に英語で預かる幼稚園や保育園のことを指します。
習い事の英語とは違い、日常生活のあらゆる場面を英語で行うことで、リアルな英語を習得できます。
早期英語教育と英語イマージョン教育の両方を取り入れる一方、「セミリンガル(ダブルリミテッド)」という問題(日本語能力の成長が遅れ、将来的にも論理的に物事を考えられなくなる)があると言われるのですが、実際のところは、(年齢にもよりますが)ご家庭でも日本語でしっかりと話しかけることを意識していれば、まずそういった問題はありません。
プリスクールでは、例えば週2~5日 14時まで預かる、というようなところもあれば、延長保育を利用して週5日で夕方まで預かるところなど、様々です。
夕方までフルで預かるところでは、英語だけでなく日本語教育も行っているところが珍しくありません。セミリンガル対策という側面もありますが、それ以外にも、日本語教育(というよりも、日本語を使用しての教育)には非常に良い点があります。
英語を通して、外国の慣習や常識、文化を学ぶだけではなく、日本語を通して、日本の慣習、習慣、文化、しつけ、礼儀、マナー、ルールや協調性などを学び、語学だけではなく、人としての成長が期待できますし、小学校入学時の適応もスムーズに行うことができるという利点もあります。
プリスクール/プレスクール/プリ/プレといった呼び方
プリスクールが英語の"preschool"であることは前述の通りですが、"preschool"を英語で発音すれば、どちらかと言えば「プリスクール」で、ローマ字読みですと「プレスクール」に近く、結局どちらも同じものを指しています。
ちなみに、「プレスクール」よりも「プリスクール」の方が一般的です。
- <「プリスクール」のGoogle月間検索数>2022年8月:8,100件(2021年8月:3,600件)
- <「プレスクール」のGoogle月間検索数>2022年8月:2,400件(2021年8月:1,600件)
ちなみに、「プリ」や「プレ」と呼ぶ方もいらっしゃいますが、これは単純に「プリスクール」や「プレスクール」を縮めて言ったものです。
インターナショナルスクールとは/インターとは
「インターナショナルスクール」というのは、昔から馴染みのある言葉だと思います。
以前のイメージとしては、
- 帰国子女の日本人、海外から日本へ転勤してきた外国人が入る学校
- 両親が日本人の場合、入学できない
といったところかと思います。
今では、
- 有名人の子供が通っている(宇多田ヒカルなど、インターナショナルスクール出身の人の活躍を目にする機会も増えました)
- バイリンガルの子供を育てたいがために、帰国子女でも外国人でも無いのに、日本生まれ日本育ちの子供が入学している
インターナショナルスクールというのは、小学校や中学校、高校なども含まれるのですが、ここでは、就学前のインターナショナルスクールとプリスクールを比較してみたいと思います。
※「インター」は単純に、「インターナショナルスクール」を縮めて呼んだものです。「プリ」や「プレ」もそうですが、いかにも日本人らしい省略の仕方ですね。
※小学校以降のインターナショナルスクールについては、以下の記事も御覧ください。
プリスクールとインターナショナルスクールの違いは?
この2つの違いは、それぞれが生まれた背景を考えるとわかります。
インターナショナルスクール
- インターナショナルスクールの歴史は古い
- 「英語の習得を目的の子供を受け入れる」というよりは、「英語を母国語とする子供の受け皿」となる場所
- よって、本来は、英語を外国語として学習する機関ではなく、母国語である英語で授業を行う場所
- 幼少期を海外で暮らし日本語と日本の文化や慣習に慣れていない子供、そして外国人の子供にとっては、大きなストレスを感じることなく、学校生活(園生活)を送れる場所
- 親に英語力を求めるところもある(手続き、書類等が英語のため)
プリスクール
- プリスクールの歴史は浅い。せいぜい20年程度
- 英語を母国語としない、主に日本人を対象にしていることが多く、日本人が英語を習得するための環境や教育を与えている場所が多い
- 需要が高く、スクールの数が非常に増えている
まとめ
このように、両者には明確な違い(外国人・帰国子女向け or 日本人向け)があるのですが、後者の日本人向けのプリスクールにおいても、「インターナショナルスクール」と謳う園は非常に多く、最近においては、違いはほぼなくなっています。
インターナショナルプリスクールとは
厄介なのがこれです。
「プリスクールなの?それともインターナショナルスクール?」
インターナショナル・プリスクールの名称を使っているスクールも多くありますが、「プリスクール」のところも「インターナショナルスクール」のところも両方のケースで「インターナショナル・プリスクール」と名乗っているスクールがあります。
ただ、「インターナショナルスクール」は小学校や中学校も含めますので、それを含まないよう区別する意味合いで、「インターナショナルプリスクール」と言っているところも多いようです。
まとめ
今や、プリスクールもインターナショナルスクールも名前だけでは区別がつかなくなっていますので、大事なのは、ホームページを見るなり、実際に園に足を運んで園活動の様子を見たり聞いたりして、よく園のことを知ることです。
英語教育を行う保育園や幼稚園は年々増えていますが、保育と教育それぞれにどこまで力を入れているか、というところは、慎重に調べる必要がありそうです。
今後もますます多様化する教育業界ですが、お子さまにとって最良の選択をしてあげるための参考となれば幸いです。
著者プロフィール
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甲斐実 - CGKインターナショナルスクール理事長 (日本)
1984年生まれ。二児の父。
オーストラリア・カナダ・アメリカでの居住・滞在の後、広告代理店にて海外展示会業務と国内広告業務の兼務。
CGKインターナショナルスクール(横浜)においては、理事長としてゼロから起ち上げ、インターナショナルスクール経営コンサルも行う。